「学生の勢い」とは


関西2部の上位リーグを戦うトップチームがセットスターに勝利し、1部昇格まであと一歩というところまで来ました。

この試合を見ていて、同志社に対して学生チームらしからぬ冷静さを感じました。全日本大学フットサル大会優勝による自信がもたらしたものなのかは分かりませんが、大会前とは明らかに違っていたのは確かです。

何がそう感じさせたのか。具体的に言うと、今回の試合では選手のプレー1つ1つに狙いが感じられた、逆に言うと何となくのプレーがほとんどなかったように思います。

プレスをかけられても逃げのパスに走らずつなぐ意識を持ち、また、相手を十分引きつけてから裏を取る動きの緩急など。これらが40分繰り返されたことで総合的に前述のような印象を生み出したのだと思います。そこには学生の勢いというものはなく、むしろ老練な試合巧者ぶりを感じました。

では、そもそもよく言われる「学生の勢い」とは何でしょうか?これは社会人チームと大学生チームが対戦した時に社会人側から聞かれる言葉であり、学生チーム同士で使われることはありません。そこには社会人チームが学生チームに対して抱く「拙さ」と「恐れ」の感情が含まれています。

大学生チームは時に相手DFに囲まれていても強引にドリブルで勝負を仕掛けたり、ほとんどスペースがないところにパスを通そうとしたりすることがよくあります。経験豊富な社会人チームからすれば学生のこういった無茶なプレーは格好の餌食として狙われ、往々にして大敗を招くきっかけとなります。

しかし、こういったセオリー無視のプレーが社会人チームを飲み込んでしまうこともあります。公式通りの対応が破られたことによって社会人チーム側が「何をしてくるか分からない」と動揺し、普段通りのプレーができなくなることが原因でしょう。一度狂った歯車は容易に修正することは難しく、失点を許すと解決策が見出せないままスルズルと試合終了を迎えてしまう。この時、社会人チームはこう言います。「学生の勢いに飲まれた」と。

では、学生はなぜ失点のリスクを犯してまで無茶な勝負を仕掛けるのか。その答えは簡単です。彼らは失敗の経験をしたことがないだけに、そのプレーがリスクを抱えていることを知らないのです。要するに怖いもの知らずと言ったところでしょうか。

フットサル経験が長い選手はやってはいけないプレーというものを体が覚えています。それは自らの失敗がチームを敗戦に追い込んだ痛い経験があるからでしょう。

同志社の選手も京都府リーグから関西2部へカテゴリが上がり、多くの失敗を経験したはずです。京都府リーグでは事なきを得ていたことも関西リーグではミスが即失点につながったことも多々あると思います。

しかし、彼らにはフットサルのセオリーに囚われて欲しくないと思っています。「フットサル」を知ることで失ってしまったプレーがあるのなら、一度原点に立ち返ってみるのもいいかもしれません。

リスク管理をしながらフットサルの型にはまらない柔軟性を併せ持つ。そんなチームに同志社はなってほしいと願います。



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